「買う前に弾いてみること」というのがウクレレビギナーだけでなく、ウクレレを購入しようとしているあらゆる人にも言えることです。でも必ずしもそれができない場合もあります。しかもコロナ禍でステイホームを余儀なくされている状況で通販を利用する人も多くなりました。そこで、通販でウクレレを買う場合の注意点をビギナー目線でお伝えします。
1. 直接弾いてみることができないとき「だけ」通販で買うこと。
2. 通販に限らず、またウクレレ購入に限らず、何かを購入する際に問題が発生することはよくあることーすぐに過剰反応せずにそのお店の真価を見極める良いチャンスだと思って対処してもらう。
3. どのウクレレにも問題が起こることはある。ただし安いウクレレほど問題発生率は高い。
4. 良いお店は発送前にちゃんとチェックしてくれる。
5. 「調整(セットアップ)」は人それぞれ好みがあるので、通販で到着したものが好みの調整状態になっていなくてもあわてない。
6. その後のウクレレライフをサポートしてくれる、信頼関係が確立できるような専門店で買おう。
直接弾いてみることができないとき「だけ」通販で買うこと。
「買う前に弾いてみること」というアドバイスはもっともなことです。お目当てのウクレレが決まっていても、お店でいくつか弾いてみると触った感触、造り、音色などの印象で、気が変わることがあります。自分で実際に弾いてみれば、後からトラブルや問題になるリスクがぐっと減ります。でも地方に住んでいる人、不便な場所に住んでいる人にとっては、お店にいくことが物理的に難しい場合もあります(特にステイホームを余儀なくされているコロナ禍の現状では)。
もし私自身、今住んでいる場所でウクレレを買おうとすると、お店は遠く離れた場所にあります。おそらくまずは通販で、と考えるでしょう。実際にウクレレの大多数が通販で購入されており、中には海外から通販で購入している人もいます。金銭的、あるいは身体的に移動が難しい人もいますし、特に現在のような世界的なパンデミックの状況も、通販購入に拍車をかけているのです。
では通販で購入する際のリスクを避けるにはどうすればいいのか?一緒に考えてみましょう。「気に入らないウクレレ」を買ってしまったら、もうどうすることもできません。しかし通販の場合、そういったリスクはあると知りながら買うしかないと私は思っています。 しかしチューニングすらままならないウクレレビギナーにとっては、通販しか選択肢がない場合、どうすれば失敗せずに買えるのでしょうか?
そこで私からのアドバイス、当たり前のように聞こえますが、「購入する店は非常に慎重に選ぶこと」です。私自身も楽器はこれまで関係を確立してきた店舗しか通販では購入しません。こうしたお店は常にお客様に発送するウクレレについて把握しており、「発送方法」にも気を配っています。大量に販売して、大量に発送している新しいオンラインショップには注意してください。ネット上ではこういったお店がたくさんあり、誰でもちょっと検索すれば、大量にヒットします。実店舗はなく、低価格商品しか扱っていないようなお店です。 この種のお店が皆いけないと言っているわけではありませんが、弾くには耐えないような粗悪品が送りつけられてきたり、梱包がひどく、到着時には破損していたり、という怖い話を耳にするからです。日本ではそれほどひどい話はあまり耳にしないかもしれませんが、多くが中国で製造されており、梱包に問題があるまま、長時間かけて輸送して販売店(チェックもなく)経由で手元に届くのです。問題がないことのほうが不思議かもしれません。
工房では以前、ショールーム兼カフェを運営していました。工房で製作したもの以外に、海外からの輸入ウクレレも扱っていました。ビギナー向けの比較的手ごろな製品を扱っていましたが、うちはかなりの時間をかけて検品をしていたため、不具合はすぐにメーカーや販売店に連絡して、対処してもらっていました。定評、人気のあるメーカーの製品でしたが、それでも数台に一台は報告が必要なレベルの問題がありました。たとえオンラインの販売店が日本に拠点がある、まともな日本語(最近はウクレレに限らず、ネットショップ自体が日本語がおかしいのがありますのでそういったお店は詐欺まがいのトラブルもあるので、一番避けないといけない)での対応をしているお店でも、個人でこれをするとなると大変なことです。
ウクレレ自体の品質もさることながら、通販ではサービスや対応の良し悪しが大きなポイントです。逆にサービスが素晴らしくても、送られてくる商品が酷い場合もあります。でも、こういったトラブルが発生することはごく自然なこと、ぐらいに思っておくとよいでしょう。特に注文の多い、忙しいお店では発送前にウクレレ一台の準備に1時間もかけることはないでしょうから。もちろんそうしているお店もあるでしょうが、実際にそれを期待してはだめ、ということなのです。
工場から出荷されるウクレレはまったく問題がない完璧なものと皆さんは思われるかもしれません。しかし残念ながら、実際にはそうではないのです。ハイエンドの高級ウクレレでも、問題が生じることがあります。安価なウクレレは工場の製造ラインで大量生産され、最低限の品質チェックのみで、ボックスに入れられ、海外に向けて出荷されるのです。つまり「問題は発生するもの」なのです(値段が安ければ、問題が発生する確率も高くなります)。しかし「良いお店」は発送前にウクレレをざっとチェックしてから発送しますし、受け取ったお客様から問題の報告があれば、すぐに、そして丁寧に対応します。こうしたことはウクレレ以外の買い物でもよくあることで、その時の対応がその店の評価を高めたり、下げたりすることになります。
ちょっと話がそれますが、ウクレレの「調整」について、少し触れておきます。「発送前に調整してくれるから良い店だ」というのはちょっと間違いです。良いお店なら、発送前にウクレレを簡単にチェックしてくれます。完全な調整にはかなりの時間がかかるので、簡単なチェックということになりますが、その時の目的は購入者に完璧にあった「調整」ではないのです。ウクレレは弾く人それぞれに好みの調整があり、発送前に店舗側が、顧客の好みの調整具合、たとえば好みの弦高を完全に把握することはできないのです。そのため、発送前チェックはウクレレとしての基本的な機能、外観などを確認することが目的です。
良いお店ならこんな点をチェックしてから発送してくれる。
1. 弦高のチェック(許容範囲であること)。購入者にとって完璧な弦高かどうかではなく、音程が正確に弾けるかどうかというチェックです。
2. 弦に傷や破損がないことのチェック。
3. ペグやエンドピンなどのパーツに緩みがないことのチェック。
4. そして最も重要なのが、全体的な造りを目視でチェックし、ボディに歪みやクラック(割れ)がないか、ネックのねじれやジョイントミス、ブリッジの浮き、トップの板に凹凸がないか確認する作業です。こうした問題点が1つでもあれば、当然ながら販売店はメーカーに返品し、そのウクレレをお客様に発送するべきではない、と思います!
販売店によってはもっと厳格なチェックをしているところもあるでしょう。しかし、少なくともここに記載した点は行ってほしいものです。
ここでまた「調整」について少しお話します。「調整」というのはたとえば弦の交換、サドルの高さ調整、ブレーシングの確認、あるいはフレットのエッジを滑らかにしたり、乾燥した指板にオイルを塗布したり、といった一連の作業を指します。これらはすべて店舗に依頼できますが、通販で買う人は、そのうち、いつかは自分でできるようになっておくと便利でしょう(しかし私自身はまだ自分で弦を交換すらしたことがない。幸い、ウクレレは弦が切れることはめったになく、一般に数年弦交換なしでもOKという、そういった点でもビギナーに優しい楽器なのです)。たとえば、サドルの高さとそれに伴う弦高は感覚的なものなので、人それぞれに好みが違うため、一様に調整することができないと考えています。すべての人に適した高さというものはなく、ウクレレが正確な音色を奏でられる「範囲」があるだけです。人によっては若干高いのが好きだったり、フレットに極限まで近い弦高が好きだという人もいます。
ウクレレを買った人が「弦高が全然ダメ」とコメントしていることが多いのですが、「弦高が全然ダメ」といいうのは弦がフレットに触れている、または異常に(たとえば1センチ超とか)高い弦高、のときにだけ使ってよい表現だとも思います。弦高が許容範囲内であればそのウクレレを悪く評価するのはどうかと思います。あり得ないほど高い弦高でウクレレが送られてきたら、もちろん評価は悪く付けますが!実際に、ほとんどの工場では弦高をやや高めに設定して出荷します。これは返品やクレームを避ける意味もあります。
Amazon経由で安いウクレレを買ったら、とんでもない商品が届いたという話がありました。初心者向けのあるメーカーのものをAmazonから直接買ったら、ネックもブリッジも位置がおかしくて、弦高もあり得ないほど高かったというのです。これこそ私が強調したいポイントです。良いお店ならこういったことは発送前のチェックで見付けるだろうから、お客様の手元にひどいウクレレが届くことはないのです。
それでもローエンドの安価なウクレレの場合、こういった問題はよくあることなので、どうすれば良いのかを考えてみましょう。そもそもこれは販売店の責任なのでしょうか?もちろんそれを販売したお店に責任の一端はあるでしょう。しかし根本的には、それを中国から出荷したメーカーの責任が大きいと思います。
音の悪いウクレレを買ってしまうこともありますが、弦の交換、サドル交換、あるいは到着後しばらく置いておき環境に慣らすだけでも解決することがよくあります。微調整で直るような不具合があっただけで、すぐにネットでお店をバッシングするのはどうかと思います。少し環境になじむ時間を設けるだけで、まったく問題なくなることもよくあるんです。
はじめてウクレレを通販で購入する人も、以下の点に注意すれば大丈夫!
• 直接お店で買える環境にあるなら、そうするべき。偶然立ち寄った店に安いウクレレしか置いていない場合は別なお店をあたって!
• 安価なものでも、非常に高額なものでも、どのウクレレにも問題は発生することがある。ただし、安いほど、問題に遭遇する確率は高くなる。
• 信頼できる販売店なら問題のあるウクレレを発送することはしない。しかしそれでもミスは発生することがある、という点は忘れないでいてほしい。大きな違いは、信頼できる販売店なら、問題が発生した場合に必ずプロフェッショナルな対応をしてくれる。
• 通販で購入する場合は実店舗を持っているところから買うこと。可能であれば販売店には出荷前にざっとチェックしてもらうようにお願いしておくこと(注文欄の「備考」のところに一言書き添えるだけでも長めにチェックしてくれる可能性がある)。
• 取引店が販売の過程でできるチェックには限界がある。ブレーシングが外れそうになったり、ごくわずかなクラックがトップの裏側にあり、最終的にはそこから大きく割れてくる、といったケースもあるでしょう。メーカー保証があれば、それでカバーできるかもしれません。
• 販売店が何時間もかけて完璧にあなた好みの状態に調整してくれることは期待しないこと。ある程度の調整は必要になると考え、困った時に聞きやすいお店で買うことも重要。
• 到着したウクレレに張ってある弦が嫌いなタイプでも、それは販売店のせいではありません。ただし、良い販売店なら各種の弦の在庫を持っており、出荷前に追加料金を払えば交換してくれるはずです。
• 一般にAmazonなどは、主として中国から到着したウクレレを箱に入ったまま、チェックせずに発送するだけなので避けたほうがよいでしょう。(例外としてAmazonマーケットプレースには、信頼できる販売店が出店していることもあります)。
• たった数百円を惜しんで、値段比較だけを選択基準にして、安いだけの店で楽器を買うのはダメです。商品に不具合があったときまともに対応してくれないか、音や造りが悪くてそのまま我慢して使っているうちにウクレレが嫌いになって結局は「ウクレレ触ったことあるけど、どうも好きになれなかった」という印象だけが残ります。だから、専門店で買いましょう(Amazonのカスタマーセンターに連絡して、弦高やフレット、ナットに問題があると言っても、まったく話が通じないでしょう)。
安さだけで判断して通販専門店で買うのはやめよう。
実店舗のある専門店で買えば、商品に問題があってもそれを素晴らしいサービスを実感する体験に転換し、店舗としての評価が高くなるように努力してくれるはずです!
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