Tips by Paul
長らくのブランク…まずは前回までのおさらいをしましょうね。
ウクレレ作りのおおまかな5段階：
①材料の用意、前準備
②トップ、バック、サイド、ネックの各パーツ製作
③各パーツの成形、接着
---ここまではPart 1と2で説明しました--
今回Part 3では以下の2つの工程を説明しますね！
④サンディングと塗装
⑤最終工程 － ナット、サドル作成、弦を張り弦高などを調整
ところで前回までの工程のうち、１つ触れていなかった点があります。
それは...ラベルの貼り付けです！サウンドホールからのぞいた時に見えるnekoleleマークまたはasteriskマークとシリアルナンバー付きのラベルは上記の②の工程でトップの板を貼る前に行っておきます。そうしないと...あとから穴から手を入れて貼るのは至難の業です...。
④サンディングと塗装の繰り返し
これはひたすら繰り返しの作業になります。 塗装の目的は木材の保護（傷などからの）、乾燥を防ぐため（完成後、乾燥が進むと発生する目痩せ～木が縮んで表面にできる筋～の防止）、あとは工芸品としての付加価値アップです。
塗装のたびにサンディング（やすりがけ）をします。当然ながらやすりは目の粗いものから目の細かいものへと順次サンディングします。
まずは「下地サンディング」から。初回の塗装前に下地にやすりをかけます。
やすりの目の粗いものから順番に#180、#240、#400、#600、#1000、#2000、#3000と行っていきます。
塗装前は水を使わない「ドライサンディング」、塗装中は水を使いながらの「ウェットサンディング」です。
準備が整ったらいよいよ塗装ですが、塗装前のもう１つの準備としてマスキングがあります。塗装したくない場所はマスキングしておきます。
塗装だけでも以下の手順があります。
1. 下地塗装(３～５回)
2. サンディングシーラー(２～3回) 乾燥(3~5日間)
3. サンディング
4. トップコート塗装(10~15回) 乾燥(10~14日間)
5. サンディング
6. トップコート塗装(5~8回)
7. サンディング
8. バフ掛け(バフ・マシンにて磨き)
9. ハンド・ポリッシュ（手作業での磨き）
塗装が終わったらマスキングを外します。
以下はasterisk工房の塗装室の様子です。小さいながら塗装専用室があるのは個人製作家としては恵まれた環境と言えます。
なお塗装に要する日程は天気次第です。塗装後は「乾燥」工程が毎回必要だからです。雨続きの湿気の多い時期は塗装工程で何日もストップすることがあります。 理想的な湿度は55%以下です。これは日本の気候では結構難しく、荒れていれば海に出られない漁師のように、湿気の多い日は塗装はあきらめて別な作業をすることもよくあります。
（晴れて乾燥した日は絶好のウクレレ製作日和）
ここまで終えたら次はいよいよ最終的な仕上げの工程に入ります。
⑤最終工程 ー ナット、サドル作成、弦を張り弦高などを調整
細かい手順としては以下があります。
1. 各フレットのエッジ落とし
2. ブリッジ貼り
3. サドル作成＆取付
4. ペグ取付
5. ナット作成&取付
6. 弦を張り、弦高を調整
7. サウンド・チェック
（弦を張るだけの状態まで終えたnekolele）
完成！！
数か月を要して丁寧に作り上げた1台が完成しました！
しばらくは壁にかけて乾燥します。弦も張ったばかりはチューニングがずれやすいので頻繁にチューニングしておきます。
最後はオーナー様の手元で「熟成」
ソリッド（無垢の木）で製作したウクレレは完成してからがスタート地点です。乾燥が進み、ボディ自体が強固な箱（共鳴体）となり、さらに進化します。ここが合板の材料を使ったものとの大きな違いです。
3回にわたって説明したウクレレ製作工程。気の遠くなるようないくつもの工程を経て皆さんのお手元に届いた一台。そして少しずつ「成長」、「熟成」する手作業での逸品が奏でる音色をお楽しみくださいね！
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